『小袖日記』

『小袖日記』 (柴田よしき)

 

小袖日記 (文春文庫)

小袖日記 (文春文庫)

 

 


 不倫相手に振られたあたしは雷に打たれて、なぜか平安時代(らしきところ)にタイムスリップしてしまっ た。しかも、どうやら『源氏物語』の作者たる香子さまつきの女房小袖と中身が入れ替わってしまったらしい。元の時代に戻れるまで、あたしは小袖として香子 さまの下で働くことになったのだが、『源氏物語』のストーリー制作にも関わることにもなってしまって!? というお話。

 さて、感想を書 こうと思ってカテゴリを見たときに、どのカテゴリ(ミステリかロマンス)に入れようかわからなくなったので急遽ただの「小説」というカテゴリを作りまし た。この小説は、どのジャンルなんだろう。ロマンスはないけれど、タイムスリップだからSFでしょうか。ミステリ要素もあるからミステリになるのかな。

 初柴田よしきさんでしたがサクサクと読みやすい文章で一気に読めました。『源氏物語』の解釈がおもしろかったです。


 以下はネタバレ感想。

 

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『波よ聞いてくれ(2)』

『波よ聞いてくれ(2)』 沙村広明

 

 


 続きをひたすら待ってましたあああああああーっの2巻。ラジオのDJとしてスカウトされたミナレが いよいよ本格的にDJデビューなお話。ミナレさんがひたすらかっこいいです。相変わらず勢いがあって、コメディとシリアスのバランスがすばらしかった。読 むと元気になる一冊。

 本当は紙の本で買いたかったのですが、本屋になかなか行けないのでibookで購入。ibookは画面がきれいなんですが、iPhoneでしか読めない ところが難点。それなら携帯&本体で読めるkindleで買えばいいような気がしますが、ポイントでもらえたituneカードがあったので、使わなきゃ もったいないってことで買ったわけです。ただ、kindleも漫画を読むときは画面があんまりきれいでないので、そろそろタブレットが欲しくなってきまし た。というのも、kindle雑誌99円セールで旅行特集の雑誌をうきうきいろいろ買ったところ、ぜんぜん読めない! いや、読めないこともないけれど、 非常に読みづらい! 雑誌を読むに適したサイズを調べたら8インチがベストらしく、Fireタブレット買おうかなーと悩んでいます。それにしても、 Amazonのレビュー書かれる方って親切ですね。設定の仕方まで書いてあるってどれだけ親切なんだろう。

 話がそれましたが、以下はネタバレの感想です。

 

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『殺人は容易だ』

 『殺人は容易だ』(アガサ・クリスティ

 

殺人は容易だ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

殺人は容易だ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 


 元警官のルークは汽車の中で老婦人からとんでもないことを聞かされる。小さな村で何度も殺人 が起こっているというのだ。ロンドンの警視庁に訴えに行くというのを聞き流していたルークだったが、老婦人が交通事故で死亡したということを知り、単身調 査に赴くが――というお話。

 ノンシリーズものに見せて、実はバトル警視シリーズ。でも最後にちょこっと出てくるだけ。(ワンポイントバ トル警視)この本、未読だと思っていたんですが、たぶん、学生時代に読んだことがある一冊でした。でも、ストーリーも犯人もきれいさっぱり忘れていたので 問題ありません。記憶力が低下しているのは悲しいですが、また面白く読めるという利点もあります。

 クリスティは久々に読んだのですが、 実にクリスティらしい一冊で楽しく読めました。この本を読んだきっかけはミス・マープルのドラマだったのですが、ドラマ版はあまりにもえげつない話だった ので「ひどい話だった」とつぶやいたところ、「原作はぜんぜん違いますよ」と親切に教えていただいて、それで興味を持ったからです。見事にぜんぜん違いま した。原作の動機の方が狂っていて好きです。

 以下はネタバレ感想。

 

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『八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。』

 

 

 『八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。』(青木祐子

 元メイドのマイアの新しい仕事は探偵事務所の助手だった。今回の仕事は探偵事務所の所長レヴィン・クレセントと共に貴婦人に変装して、ある舞踏会に行くことだったが――というお話。

  口当たりが良いのにえぐい話を書かせたら天下一品と定評がある(私の中で)青木祐子さんの新シリーズ。今回もすばらしく読みやすいのにすばらしく苦い後味 でとてもおもしろかったです。新シリーズのようですが、2014年に出たお話で続きも出ていないから続刊は難しいのかもしれません。私はかなり好きな話で すが、深く考えるとかーなりえぐいお話なので、コバルト向きではないのかなー。

 読書中は10代の乙女な感性を思い出して読みたいと思い つつ、やっぱり自分の重ねた年からは逃れられないような気になってきました。たとえば『赤毛のアン』はマリラ視点で読んでしまうし、昔は「ミス・ラヴェン ダーみたいなかわいいご婦人になりたいわ」とか思っていましたが今読むと「いや、あの年で架空のお客様ごっこはやばい」と思うようになってしまって、い やー、本当、なんか、年を取るのって切ないなって。


 以下はネタバレ感想。

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はじめに

 読んでも読みっぱなしのことが多いので読んだ本の感想や日常について気軽に書いていきたいと思います。以前のブログから記事はこちらに移しているので日によって更新が多かったりします。文体はその日の気分で変わります。